在留資格取消件数が過去最多に

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出入国在留管理庁から発表された「平成30年度の在留資格取消件数」を見ますと、取消件数は832件で過去最多だった前年度の385件を更新し2倍以上の増加となりました。

在留資格別、国籍・地域別の内訳

在留資格別に取消件数をみると、「留学」が412件(全体の49.5%)、「技能実習」が153件(18.4%)、「日本人の配偶者等」が80件(9.6%)と続いています。「留学」と「技能実習」で約7割を占め、件数も前年より大幅に増加となりました。国籍・地域別では、ベトナムが416件(全体の50.0%)、中国が152件(18.3%)、ネパールが62件(7.5%)と続いています。

大幅に増加した理由とは

在留取消件数が倍増した理由として、平成28年に出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という)の改正で在留資格取消制度が強化されたことが挙げられます。改正では、「在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること」(入管法第22条の4第1項5号)の取消事由が新設されました。その結果、「留学生が学校を除籍された後に、アルバイトを行って在留していた」「技能実習生が実習実施先から失踪後に、他の会社で稼働して在留していた」などの事例で在留資格の取消しができるようになり、今回の調査では216件が適用となりました。

また、最も多かった取消事由は、「在留する者が在留資格に応じた活動を3月(高度専門職は6月)以上行わないで在留していること」(入管法第22条の4第1項6号)で、384件でした。具体的な事例として、「留学生が学校を除籍された後に、3か月以上本邦に在留していた」「技能実習生が、実習先から失踪後、親戚宅に身を寄せ、在留資格に応じた活動を行うことなく、3か月以上本邦に在留していた」などが挙げられます。

受け入れる側にも問題

在留資格取消件数が増加となった一方で、留学生を受け入れる悪質な教育機関の存在や、低賃金や賃金不払い、長時間労働による技能実習生の失踪の増加などが問題として挙げられています。それらに対して、教育機関の留学生の在籍管理の徹底や実習先企業への不正防止強化等も現在進められています。

 

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